セックスレスは、夫婦が離婚するに至る原因ともなるような大きな問題です。
しかし、本当にセックスレスを理由に離婚に踏み切っていいものか、辛い気持ちを抱えながらも悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
特に子どもがいるとなると自分の気持ちだけでは離婚に踏み切りづらいですよね。
そこで今回この記事ではセックスレスと離婚の関係について、子どもの有無や親権、養育費の観点から見ていきたいと思います。
セックスレスは離婚したいと感じる本当の原因なのか?
セックスレスがなぜ離婚を考えるほど辛いのかと問われれば、ほとんどの人がただ性欲が満たされないからとは答えないのではないでしょうか。
というのも、辛さを感じる本当の原因は製薬という身体的な理由よりも、精神的な理由の方が大きい場合が多いからです。
そして、本当に自分はセックスレスを理由に離婚すべきなのか、離婚しても後悔しないかを考える上で、今感じている辛さの本当の原因を考えることはとても大切なことです。
ここでは、辛さを感じる背景のうち代表的なものを紹介していきますので、自分はどれに当てはまるのか、あるいは違う原因がありそうなのか、改めて自分の心に聞いてみてください。
拒否されることが辛い
特に女性の場合、自分からは夫をセックス に誘いにくい、と感じる人も多いのではないでしょうか。
それでもなんとかセックスレスの問題を解決すべく、勇気を振り絞って誘ったのに拒絶されたとしたら、とても傷つきますよね。
たった1回の拒絶でも、また拒まれることへの恐怖心から、2度目以降の誘いへのハードルはグンと高まることでしょう。
また、ただ断られただけではなく、その時夫からの心無い言葉を投げつけられたのだとしたら、自分が惨めに感じて、夫といること自体が辛くなってしまいますよね。
このように、セックスレスの辛さは性欲の解消以上に、自分自身を否定されることによる心の痛みによる場合もあるのです。
夫からの愛情不足
セックスは確かに男女が愛情を伝え合う上で最上級の方法のひとつといえるかもしれません。
ですが、もちろん愛情を伝え合う方法はセックスだけではありません。夫婦としての生活が長くなれば、子育てなどで協力して生きていく中で、共に人生を歩んでいくパートナーとして、自然と愛情が伝わるような場面も出てくるでしょう。
ですが、そうした愛情が普段から感じられないとしたらどうでしょうか。その上さらにセックスレスともなれば、精神的にも肉体的にも夫から愛情を注いでもらえない、と感じますよね。
どんなに相手に対して愛情を持っていても、一生懸命「家族」という状態を維持しようと頑張っても、全く相手から愛を返してもらえている感じがしないとしたら、やはり結婚生活を維持することをつらく感じるものなのです。
女性として扱われないことへの辛さ
特にセックスレス状態になると、夫からは女性扱いはおろか、母親、ないし家事をする人や同居人として扱われるケースも少なくありません。
年齢や子どもの有無に関わらず、いつまでも一人の女性として扱われたい、という思いを抱いている女性もいます。
そのような女性にとって、やはり夫から女性として尊重されなくなるというのは辛い状況でしょう。
特に夫婦の間に子どもがいる場合、女性であり続けたいという妻側の思いに対して、母親のくせに、と心無い言葉を夫がぶつけてしまうケースも少なからずあります。そんなことを言われれば、自己嫌悪に陥ってしまいますよね。
女性として扱われたい、という自分の本心、価値観などを否定されれば、やはり一緒にいるのは辛い、離婚したい、と考えるに至ってもおかしくはないでしょう。
セックスレスでの離婚…子ありの場合に考えたいこと
セックスレスそのものは夫婦の問題です。そのため、子なしの場合でどうしてもこの問題を解消できず、離婚しか道がないと考えるなら、自身の今後の人生のために一歩踏み出すというのもアリでしょう。
ですが、子ありの夫婦の場合、やはり脳裏をよぎるのが「セックスレスという個人的な問題でこの子から父親を奪っても良いのか」という考えですよね。
特に収入面で申し分がなく、子どもに対する接し方の面でも良き父親であるなら、なおのこと悩みは深くなってしまうことでしょう。
ですが、セックスレスは離婚の原因として十分に成り立つ理由です。
人生山あり谷あり、夫婦生活も一筋縄ではいかないもの。今踏みとどまっておけば、きっと将来離婚しなくてよかったと思える日が来る。
なんていうアドバイスをくれる人もいるかもしれませんが、これは長い年月をかけて信頼関係を築いていくことができた夫婦だからこそ成り立つ考えともいえます。
今すでにセックスレスで辛い思いをしている人にとっては、上記のような長い道のりを歩んだ末に深い絆を得る未来の姿を想像しにくいでしょう。
そのために今の辛さをひたすら耐え抜く、というのも酷な話です。
とはいえ、先程紹介したように、セックスレスで離婚したい、と考える背景にある本当の原因が単なる欲求不満ではなく、自身を拒否されたことや夫からの愛情を感じられないことから生じた不信感によるものである場合。
子どものことは一旦抜きにして、夫婦関係について再考する必要があるでしょう。
たとえば、現状を改善する方法を模索したり、なんとかセックスレスを割り切る方向に考えをシフトするなどです。
そもそも夫としては、外で働いて稼いだ給料をきちんと家庭に納めているのだから、自分は夫としての役割をきちんと果たしている、と考えているかもしれません。
また、あなたが離婚を考えるほどセックスレスについて思い悩んでいるとは夢にも思っていない可能性があります。
もちろん、また拒まれたら嫌だ、傷つきたくないという恐怖心を抱くのは自然なことです。しかし、最後にもう一度、セックスレスについてきちんと夫婦で話し合ってみる価値はあるでしょう。
それでも夫が変わらないようであれば、たとえ子どもがいたとしても離婚に踏み切るという選択肢もアリです。
あなたにはあなたの人生があります。また、あなたがいるために離婚しなかった、というのは多かれ少なかれ子どもに伝わってしまうもの。そのことに気づいた時、あなたのお子さんは確実に傷つくでしょう。
両親が揃っているからお子さんが必ず幸せになれるかというと、そういうことはないわけです。
セックスレスでの離婚は親権・養育費に影響を及ぼす?
子ありの夫婦の場合、離婚に際して親権や養育費はどうなるのか、というのはやはり気になる問題ですよね。
特に浮気などの不貞行為やDVがあったわけではなく、セックスレスが原因の離婚の場合、親権が獲得できるのか心配になる人もいるでしょう。
ですが、セックスレスが離婚の理由だっととしても、結論から言えば親権獲得並びに養育費については何ら影響はありません。
仮に自分がセックスを拒んでいた側だったとしてもです。
というのも、まず親権についてはこれまで夫婦のどちらが子の監護養育を行なってきたか、そして離婚後の体制が整っているかということが判断の基準となります。
今後の子どもの幸せのために、夫婦のどちらが親権を持った方が良いか、また子育てをする能力そのものはセックスレスとは無関係だからです。
しかしながら、暴力を振るったり心身の障害等により子育てが不可能と判断されない限りは、10歳未満の子どもについては母親の愛情が不可欠と考えられているため、母親側を親権者として指定されるケースが多いので、その点は考慮しておきましょう。
なお、養育費については、離婚後に子と離れて暮らす側にも子を養育する義務があるため、セックスレスが原因だとしても支払いを拒否できるものではありません。
ただし、セックスを拒否され続けたことが離婚原因だとしても、それで養育費が増額されるといったこともないので覚えておきましょう。
というのも、養育費の算定方法にはきちんとした基準があるからです。
詳しくは以下のページを参考にしてください。
セックスレスが夫婦としての関係の破綻を招き、そのことで配偶者の有責性が認められた場合は、慰謝料として請求が可能となります。
そのため、離婚に至った場合は養育費ではなく慰謝料として求めることになる、と覚えておくと良いでしょう。
最後に
夫婦だからといって必ずしも皆がセックスを重要視しているとは限りませんが、セックスレスは離婚に至る十分な理由となり得る問題です。
特に一方がが正当な理由なくセックスを拒み続ける場合、裁判においても認められる可能性は高いです。
しかし一方で、こうした離婚の理由は親権と養育費には関係がありません。
特に子どもがいる人にとっては離婚は大きな決断となるかと思いますが、今回の記事を参考に、夫婦関係の見直しや、自分にとっての幸せな未来のためにはどんな選択肢を取るべきか考えてみてください。
コメント