セックスレスが原因で浮気・不倫した場合の慰謝料の相場は?

セックスレス

夫や妻とセックスレスになったことから、自身が求められないことへの寂しさを感じたり性欲を解消できないことへの不満を感じて不倫に走ってしまう例はけして少なくはありません。

とはいえ、どんな理由があろうとも夫婦である以上、配偶者に対する貞操義務はあるものです。

ですから、夫ないし妻以外と性交渉を持ってしまった以上はその義務に反したと判断され、慰謝料請求の対象となってしまいます。

そこで今回は、セックスレスを理由に浮気してしまった場合の慰謝料の支払い義務や金額の相場などについて、法律的な観点から解説していきたいと思います。

配偶者の浮気が発覚した、あるいは自分自身が浮気してしまった場合どうなるのか、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもセックスレスの定義はあるの?

まず、セックスレスという状態に定義はあるのかについてですが、日本性科学会が1994年に発表した内容によると、

「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが一ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」

としているようです。

特別な事情とは、たとえばEDなどの身体的な理由、あるいは性的交渉に関して精神的にトラウマがある場合などを指します。

不倫に対する慰謝料の法的な根拠

続いて、不倫した場合に慰謝料の支払いが義務付けられている件を、法的な根拠について見ていきましょう。

夫婦である以上、貞操義務がある

法律上婚姻関係にある夫婦は、お互いに対して貞操義務があるものです。

浮気や不倫によって慰謝料を支払わなければならなくなる理由として挙がるのは、この配偶者以外の異性と肉体関係を持ってはならない、という貞操義務によるものです。

浮気・不倫は貞操義務に反する行ない

互いに対して貞操義務を負っている以上、夫ないし妻以外の異性と肉体関係を持つ浮気・不倫はこの義務に反する行ないとなります。

さらにいえば民法の上では不倫・浮気は離婚の原因ともなりうる不法行為です。

不法行為があったとなれば、当然この行為を行なった側にはされた側に対する損害賠償責任を負うことになります。

つまり、浮気・不倫を行なった側は配偶者から損害賠償請求をされたら、慰謝料を支払わなければならないわけです。

不倫相手にも不法行為の責任が発生する

既婚者と浮気・不倫をした場合、その相手も不法行為を共に行なったことになるため、同様に責任を行うことになります。

ですが、この責任は必ずしも全てのケースで成立するわけではありません。

具体的には、既婚者であることを知っており、夫婦関係に及ぼす影響を理解していた(故意)、あるいは、注意すれば既婚者であることを知り得たが見落としていた(過失)場合に成立すると考えられています。

そして、責任があったと認められた場合、浮気・不倫相手も損害賠償責任を負うことになります。

セックスレスを理由とした不倫の場合も慰謝料の支払い義務は発生する?

一般的に浮気・不倫の場合は慰謝料の支払い義務は発生するものですが、こうした不貞行為の原因がセックスレスにある場合も同じように慰謝料を支払わなければならないものなのでしょうか?

争点となるのは夫婦関係

慰謝料の支払い義務が発生するか否かを判断する上で、重大な指標となるのが「夫婦関係」です。

特に不倫した側にとってはセックスレス状態にあるということは既に夫婦関係は破綻している、と考える方もいるでしょう。

しかし、実際のところセックスの有無と夫婦関係の良し悪しは別物です。つまり、セックスレスだからといって必ずしも夫婦関係が破綻しているとは言い切れないわけです。

そのため、不倫をした際には既に配偶者との間ではセックスレス状態であったとしても、その時既に夫婦関係が破綻していたと認められなければ、不倫された側は慰謝料を請求することができます。

離婚に至った場合は不倫相手と配偶者の双方に、婚姻生活を継続するとなった場合は不倫相手に対して、慰謝料を請求することが可能なのです。

逆に夫婦関係がすでに破綻している場合は慰謝料の請求は不可能

セックスレス状態であったとしても夫婦関係が不倫の時点では破綻していなかったとしたら、不倫した側とその相手に対して慰謝料を請求できます。

しかし逆にいえばセックスレスなどの理由から浮気や不倫が行われる以前から夫婦関係が破綻していたと認められた場合、慰謝料は請求できないと考えられています。

夫婦関係が破綻していた以上、貞操義務など守るべき権利が存在していないと判断され、浮気や不倫は不法行為として損害賠償を支払わなければならないということもなくなってしまうからです。

夫婦関係が既に破綻していたと認められやすいのは、たとえば夫婦の一方がセックスを求めたにも関わらず、もう一方が正当な理由なく拒否し続けた結果、別居に至ったケースなどが挙げられます。

裁判において夫婦関係が破綻していたことを認められるためには、時系列など、具体的・客観的に夫婦関係が破綻するに至った証拠などの事実を明示する必要があります。

そう簡単には認められるわけではない、ということは覚えておきましょう。

不倫の原因がセックスレスにあったと認められた場合は慰謝料は減額される?

浮気・不倫の原因がセックスレスにあると認められた場合、慰謝料が減額される、ということも起こりうるのでしょうか?

不倫による慰謝料の相場

不倫による慰謝料の相場は、発覚によって離婚に至った場合は200万〜300万円程度、婚姻関係を継続する場合は50万〜100万円程度とされています。

具体的な金額については夫婦の婚姻期間や子どもの有無、不倫が行われていた期間や肉体関係を持った回数、不倫した側の収入や社会的な地位などを考慮して決められます。

特に夫婦の婚姻期間、不倫期間が長期にわたる場合に、慰謝料の金額は高くなる傾向にあるようです。

不倫前に夫婦関係が悪化していた場合は慰謝料の減額事由となる

不倫関係に至る場合に夫婦関係が悪化していたと認められた場合は慰謝料の金額を減額できる可能性もあります。

また、夫婦関係が完全に破綻していたともなれば、慰謝料自体を支払わらなくても良くなる可能性も出てきます。

ただし、セックスレスだけで慰謝料の金額が減額される、ということはほとんどありません。

というのも、セックスレスによって夫婦関係がどのように変化したかなど、婚姻関係にあった二人の状況は特に裁判では慎重に判断されます。

そのため、夫婦関係の破綻を主張するには、裁判でもきちんと証拠として認められるよう立証する必要があるのです。

ですから、セックスレス状態であったとしても不倫前から夫婦関係が悪化、ないし破綻していたことがきちんと証明できなければ、慰謝料の支払い義務は免れ得ないと考えた方が良いでしょう。

最後に

浮気・不倫の背景にセックスレスがあったとしても、セックスレスが夫婦関係の破綻を招いたことが立証できなければ、不貞行為に対する慰謝料の支払い義務は生じます。

自分が配偶者に対して請求する立場だとしても、請求される立場だとしても、妥当とされる慰謝料の金額は夫婦の状況、不倫の経緯などによっても異なってくるので、法律の素人が判断するのは難しいでしょう。

自分自身で対処するのが難しい場合は、弁護士などのプロに相談し、助けてもらうのが一番です。

まずは自分自身で可能な限り事実関係を整理した上で、無料相談などを利用して法律の専門家にコンタクトを取ってみると良いでしょう。

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